
広報に関するガイド
このページは、スタートアップや新規事業における広報PR活動に関するガイドです。
広報専門家として日々活動する中で、整理しておきたい事業のスケールに役立つ情報をまとめています。
広報が専門ではない忙しい起業家や経営者、広報部門の管掌役割になった方々の何か役に立つ情報発信を目的にしています。
広報とは何か
広報(Public Relations, PR)とは、企業や組織が外部の人々や団体と良好な関係を築くために行う活動のことを指します。
これには、自組織のポジティブなイメージを構築し、製品やサービス、活動などの情報を広く伝えることが含まれます。
次のように考えるとわかりやすいかもしれません。広告とは、自分の製品が素晴らしいと言うことであり、PR とは、他の人にそれを言ってもらうことです。
アメリカ広報協会 (PRSA) による PR の定義は次のとおりです。
「広報活動は、組織と一般大衆との間に相互に有益な関係を構築する戦略的なコミュニケーション プロセスです。」
2023年6月に日本広報学会が発表した「広報」の定義は
「組織や個人が、目的達成や課題解決のために、多様なステークホルダーとの双方向コミュ
ニケーションによって、社会的に望ましい関係を構築・維持する経営機能である。」となっています。
PR はストーリーテリングの仕事です。PR 戦略の大部分は、人々の記憶に残るような、胸を打つような物語にする作業にあると言っても過言ではありません。これには、メディア、ソーシャルメディア、またはその他の通信媒体を通じた評判づくり、構築に至るまで多岐にわたります。優れたPR 担当者は、経営戦略を理解し、組織を分析し、情報資源を確認し、ポジティブなメッセージを見つけ、それらのメッセージをポジティブなストーリーに変換します。悪いニュースが伝えられた場合、最善の対応を練り、ネガティブな評判を最小限に留めることに尽力します。これはクライシスコミュニケーションとして知られています。
スタートアップ や新規事業における広報とは何か
スタートアップにとっての広報(PR)は、自社のブランド認知を高め、製品やサービスに対する顧客・消費者の関心を引き出し、最終的には事業の成長と成功に貢献するための重要な役割を担います。スタートアップの初期段階では、ヒト・カネの資源が限られており、大規模な広告活動に多額の予算を割くことが難しいため、効果的な広報活動が特に重要になります。
スタートアップにおける広報の主な目的は以下の通りです:
-
ブランド認知の構築: 新規事業は、市場での認知度が低いことが多いため、広報活動を通じてブランドの存在を知らせ、その特徴や価値を伝えることが重要です。
-
信頼性の確立: スタートアップは新しく、実績が少ないため、消費者の信頼を獲得することが重要です。メディアを通じて正確で魅力的な情報を共有することで、信頼性を築きます。
-
投資家との関係構築: 広報は投資家やパートナーに対しても重要です。メディアでの露出は、投資家の関心を引き、資金調達の機会を増やすことに寄与します。
-
顧客獲得と市場での立ち位置の確立: 効果的な広報戦略は、ターゲットオーディエンスにリーチし、製品やサービスに関心を持ってもらうために不可欠です。また、競合他社との差別化を図り、市場での独自の立ち位置を確立することができます。
スタートアップや新規事業における広報と難しさは何か
スタートアップの広報活動は多くのユニークさを表現できる一方で、特有の難しさも伴います。具体的には以下のようなものがあります。
-
ブランド認知の欠如
-
スタートアップは新しい企業・事業であるため、市場での認知度が低く、その存在を広く知ってもらうための努力が必要です。既存の競合他社と比べて、注目を集めるには地道な活動を要します。
-
-
信頼性の確立
-
新規事業は実績が乏しいため、顧客や投資家など重要なステークホルダーからの信頼と関心を獲得する難しさがあります。信頼性を築くためには、成功事例や顧客事例など、具体的な実績を示す必要があります。
-
-
限られた資源
-
スタートアップは資金、時間、人員などの面で資源が限られます。効果的な広報戦略を立て、実行するためには、これらの資源を優先順位立てて配分する必要があります。
-
-
メッセージの明確性と一貫性の確保
-
独自の価値提案を明確に伝え、一貫性を持たせることは、ブランドの認知と信頼性の構築に不可欠です。しかし、メッセージングを正確に行うことは、特に多くのアイデアや製品が同時に進行している場合に難しい場合があります。
-
-
メディアとの関係構築
-
効果的なメディアリレーションズは時間と努力を要します。特にスタートアップは、メディアやインフルエンサーに注目してもらうために、他とは異なるアプローチや独自のストーリーを提供する必要があります。
-
-
成果の測定
-
広報活動の効果を測定し、ROI(投資収益率)を評価することは、特にデータや測定ツールにアクセスが限られている場合に難しい場合があります。
-
これについては広報会議2024年4月号に意見を寄稿しています(詳細はこちら)
-
-
危機管理
-
スタートアップの成長スピードは早く、連動してリスクも伴います。予期せぬ問題や危機が発生した場合、これを効果的に管理するための広報戦略が必要になりますが、これは経験やリソースが限られているスタートアップにとっては特に難しい課題です。
-
これらの難しさに対処するため、スタートアップはクリエイティブで戦略的なアプローチを採用し、利用可能なリソースを最大限に活用する必要があります。
広報PRに投資をするかどうかの判断
広報活動は企業が直面するさまざまな課題を解決するのに役立つ重要な手段となり得ます。
他の事業部との連携があってこそ成り立つものと、単独で寄与できるものが混在しますが、以下に広報が解決に貢献できる一般的な企業の課題を挙げます。
-
ブランド認知度の向上
-
新規顧客の獲得や市場での立ち位置を強化するためには、ブランドの認知度を高めることが重要です。広報活動は、メディアを通じて企業の存在を広く知らせ、その製品やサービスについての情報を伝えることで、この目的を達成するのに役立ちます。
-
-
信頼性と信頼の構築
-
製品やサービスの質、企業の倫理観、社会への貢献などに関する正確な情報を提供することで、顧客やパートナー、投資家からの信頼を獲得し、維持することができます。
-
-
市場での差別化
-
競合が多い市場では、自社を際立たせることが不可欠です。広報活動により、企業の独自の価値提案や製品の特徴を強調し、競合との差別化を図ることができます。
-
-
危機管理
-
企業が危機や否定的な報道に直面した場合、迅速かつ効果的な広報戦略によって、企業のイメージを守り、問題を解決することができます。これには、透明性を持って情報を共有し、積極的に対応することが含まれます。
-
-
顧客とのコミュニケーション
-
広報活動を通じて、顧客との直接的な対話を促進し、彼らの意見やニーズを理解することができます。これは製品開発やサービス改善のための貴重なフィードバックを提供します。
-
-
投資家関係の強化
-
広報は投資家やアナリストに対するコミュニケーションにも重要な役割を果たします。企業の成長戦略、財務状況、市場での立ち位置に関する情報を共有することで、投資家の支持を獲得し、株価の安定に貢献することができます。
-
-
社会的責任の強調
-
企業が社会的責任を果たしていることを公に示すことは、特に現代の消費者にとって重要な要素です。広報活動は、企業の社会貢献活動や持続可能性への取り組みを強調し、ポジティブな企業イメージを構築するのに役立ちます。
-
これらの課題は、適切に計画され実施された広報戦略によって、効果的に対処することができます。
この他にも、PR が関与することが多いスタートアップの課題を挙げてみます。
-
優秀なターゲット人材への入社動機付け
-
ユーザーまたは顧客ベースの拡大
-
新たなターゲット層へのリーチ
-
初回説明のコミュニケーションコストの削減
-
新しい製品、サービス、またはアイデアについての理解促進
-
競合他社の中での地位確立
-
リーダーポジションの確立により、競合他社から抜きん出る
反対に「プロモーション」の意味合いで、数百、数千万円の費用を投じるCM・広告同等のPRを期待されることがありますが、スタートアップ・新規事業の広報活動の限界があります。その期待は、多額予算とのセットで広告代理店の方との協業が解決に近しく、またメディア露出のみを目標とする場合にはメディアプロモートに強いPR会社との協業が近道といえるでしょう。
当社は広告代理店でもPR会社でもない、広報活動支援を行なっています。
To be Continue
このページは随時更新していきます。
今後記載予定のコンテンツ
-
スタートアップや新規事業広報で活躍するPRスペシャリストの人材要件の例
-
何からスタートすべきなのか
-
広報職の専門知識がない上司がマネジメントする際に気をつけること抑えるポイント
-
実行できる試作のバリエーション
時間を見つけてこの辺りを加筆していきます。
(2024年3月3日現在)
